« リスク管理とは何か | トップページ | 福知山脱線事故と旧運輸省の関係 »

2005/05/09

福知山線事故報道とハインリッヒの法則

ハインリッヒの法則とは、重大事故(死亡含む重傷事故)、軽傷事故、無傷事故の比率が1:29:300になるというもので、労働安全衛生では良く知られた法則である。詳細はググってみると色んなサイトが引っかかるので詳細は割愛。

これに照らし合わせて考えてみると、JR西日本の福知山線脱線事故は明らかに重大事故であるから、それ以前に軽傷事故が29件、無傷事故が300件は発生していると考えられる。 福知山線の事故とハインリッヒの法則の話は、既に様々なブログで書かれているが、マスコミでこのことを報道しているのを寡聞にして知らない。新聞では書かれているのかもしれないが、最近新聞は読んでいないので新聞記事に関しては不明なのだが、少なくともテレビでの報道では聞いたことが無い。
『JR西日本&ハインリッヒの法則』でググってみるとマスコミのサイトがひとつも引っかからない事からおそらくマスコミでは取り上げてないのではないかと思う。

JR西日本のあきれた行状を報道するのも良いのだが、尼崎と全く関係のない金沢あたりの飲み会まで非難するのは明らかに行き過ぎだろう。そんなのを報道するぐらいだったらJR西日本の過去の事故を調査してハインリッヒの法則に照らし合わせ、安全管理および労務管理に問題が無かったかどうかを報道すべきだと思うのだが。マスコミの仕事って社会科学じゃ無いのか?
労務管理の問題も日勤教育だけ、しかも組合員の話だけ取り上げても意味は無い。日勤教育がどういう目的で行われていて、それがどういう成果を上げているのかをJR西日本側に取材し、それが妥当なのか(決してそうは思えないけど)を検証すべきだと思う。

記者会見の場で感情的になるのも分かるが、報道が余りにも科学的では無く、記者会見の場で声を荒げて『社長を呼べ!』というところに違和感を感じる。
しかし少なくとも産経新聞では客観報道を心がけるという内容の記事を8日土曜日の朝刊に載せている。
まだ産経だけだと思うが、少なくとも産経はまともな報道姿勢になっていくのではないかと期待している。
(6/7追記 上記産経新聞記事へのリンクは現在切れていますので、記事を保存されている別のサイトへのリンクに変更しました)

ハインリッヒの法則は労働衛生では一般的な法則なので、マスコミであっても労働安全衛生担当部門の人間であれば知っているはずだし、知らなければおかしい。にも関わらずマスコミの記事で一度も見かけないというのはどういうことなのか。業種は違えどもおそらく福知山線の事故を他山の石と見ていない証左ではないかと思う。意識は対岸の火事なのだろう。テレビ業界などでは過去に数件の死亡事故が起きているのにも関わらず。

あくまでもこれは僕自身の勝手な推測だが、この事から導き出されるのは、自分らの会社の安全管理に関しては全く無頓着なんだろうということ。
逆にそうではなくて自社の安全管理のことも知っていてあのような記者会見の場で声を荒げるとか、どうでもいい宴会の話を報道しているのであればそれは単なるJR西日本いじめでしかない。
報道が社会科学であるためには、きちんと結果と原因を結びつけるものを調べて報道すべきであり、結果とそれを脚色するための燃料ばかり報道しているとそれは単にイエロージャーナリズムでしかない。このままではマスコミ、特に新聞、はホリエモンが言うようになってしまうやもしれん。

今のマスコミのJR西日本叩きとJR西日本の日勤教育に違いはあるのだろうか?マスコミにはそこを考えて欲しいと思う。

(5/15追記)
Amazonをぶらついていたらこんな本発見。『定刻発車』

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?
by 三戸 祐子
新潮社 (2005/04)

文庫
定価:¥ 620
価格:¥ 620
売り上げランキング: 1,114位
通常24時間以内に発送
オススメ度の平均:
rating:4 JR西日本の脱線事故への思いを重ねながら・・・
rating:5 定刻運転による高度な秩序
rating:5 JR西日本の脱線事故への思いを重ねつつ・・・

文庫版の発売日が今回の事故当日という偶然にしては出来過ぎた日。
時間を守るという概念の歴史に始まって列車を定時運行させることの難しさ?に関して書かれている模様。面白そうなので買って読んでみることにする。感想文は後日こちらで。

(7/12追記)
京都新聞で連載されていた信楽高原鉄道事故の調査記事が本になっている。
これを読むまでこの事故がこれほど重大な事故だとは認識してなかった。この事故がきっかけとなって鉄道・航空事故調査委員会が発足している。
この本とこの事故の民事裁判を下敷きにJR西日本の体質を取材した本を紹介しておく。

検証信楽列車事故―鉄路安全への教訓
by 鈴木 哲法, 京都新聞社
京都新聞出版センター (2004/02)

単行本
定価:¥ 1,400
価格:¥ 1,400
売り上げランキング: 60,331位
通常3日間以内に発送

信楽高原鉄道事故
Book信楽高原鉄道事故
posted with All Consuming at 2005. 7.12
by 網谷 りょういち
日本経済評論社 (1997/10)

単行本
定価:¥ 2,940
価格:¥ 2,940
中古:¥1,500(Amazonマーケットプレイス)
売り上げランキング: 271,364位
通常2\x{ff5e}3日以内に発送
オススメ度の平均:
rating:5 納得!

|

« リスク管理とは何か | トップページ | 福知山脱線事故と旧運輸省の関係 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 福知山線事故報道とハインリッヒの法則:

» 「マスコミ批評」カテゴリー投稿確認サイト一覧。現在9サイトであと1つ。あと1つでココフラッシュに出ます。(^^; [雑談日記 (徒然なるままに、、。)]
 下記のうち、「 Goemon's place blog(日々徒然たるもの)」さ [続きを読む]

受信: 2005/05/09 19:46

» JR西日本の会見報道に思うこと----世界は過ちと無謬の2色ではない。 [BigBan]
あらゆる意味で過ちのない人間はいないし、その人間が作ったことを考えれば、過ちのな [続きを読む]

受信: 2005/05/10 02:17

» 福知山線事故(4)…勘違い連中を茶化し斬りさせていただきます [D.D.のたわごと]
福知山線の痛ましい事故の後,連休をはさんで,再び通勤ラッシュの朝がやってきました。 これまでこの事件に関しては3件のエントリー…(1)JR西日本は誠心誠意対応を, そして(2)(3)ではマスコミの暴走ぶりについて触れてきました。 ブログのトップにも書いてありますように,私は三十代の元ハガキ職人 (今でも小遣い稼ぎできそうな投稿欄にはたまにハガキを出してます)です。 世の中の事象を茶化し斬りと銘打っているこ�... [続きを読む]

受信: 2005/05/10 07:11

» マスコミの役割とは・・・JR福知山線脱線事故と過去の企業不祥事 [だんなの屋根裏部屋]
日経BPのコラムでもあるガ島通信さんのエントリを読み、ジャーナリストにも冷静で的確な判断をされる方もまだまだいらっしゃるなと思いました。一部のマスコミ関係者はスクープ優先、読者確保優先という考えからセンセーショナルな報道をしてきていますが、こういう報道に批判的なジャーナリストこそ、真なるジャーナリズムを育てられるのではないかとも思います。最近では鳥越俊太郎氏も事故報道に関して批判的な考えを持たれているようですが、ジャーナリストの義務は事実を主観を交えずに伝えることと、その背景や要因を客観的に議論し後... [続きを読む]

受信: 2005/05/11 08:42

« リスク管理とは何か | トップページ | 福知山脱線事故と旧運輸省の関係 »